インドの経済は日本やアメリカ、中国に比べて未来があると言われています。
その一方でインドに関して知識を持っている日本人は少ないですよね。インドの経済について聞かれても、正直よくわからない人も多いのではないでしょうか。
たしかにインドと聞いてもあまり経済が発展しているイメージは湧きませんし、とても謎です。
そこで今回は、インド経済について今後の見通しや問題点をわかりやすく解説します。
インド経済の今後
インド経済は今後も堅調であると言われています。
経済成長率は2023年現在で中国を抜いており、先進国や新興国の全てを見ても大きな存在感を放っています。
また、長期で見てもインドは2050年にアメリカを抜いて中国に次ぐ世界2位の経済大国になるだろうとも言われています。
インドの経済成長率
インドの経済成長率は世界銀行の2021年のデータでは、前年比で8.7%と言われています。
インドの経済成長率はおよそ5%から10%で推移しており、2020年は新型コロナウイルスの影響で系勢成長率が-6.6%と落ち込みました。
IMFの予想に基づいても、2023年も7%程度をキープするだろうと言われています。
インド経済が今後も経済成長・発展をする理由
インド経済が成長すると言われているという理由をいくつかの要素から考えてみましょう。
- 個人消費力の高さ
- モノづくりの拠点
- 民主主義の政治体制
- 英語が公用語
- 教育水準の高さ
それでは詳しくみてみましょう。
個人消費力の高さ
インドネシアは人口が増加しており、世界銀行によると2010~2017年の年平均増加率は1.2%です。人口が多くなって人々の所得が増えれば中間所得層も厚くなります。そして、内需経済でインド全体の経済が回るので世界一の人口を抱えるインドの経済は簡単に減退しませんし、堅牢な成長が見込まれます。
ちなみに、インドではさまざまデジタル化が進んでおり、世界情報通信事情によると携帯電話の普及率は86.7%、4Gサービスの利用率は48.7%です。人々がオンラインに繋がりそこで金銭的なやり取りを行うとさらなる経済発展が見込めます。
野村アセットマネジメントによると、インドの電子商取引市場は市場規模が2020年は462億アメリカドルなのに対して2025年には1,114億アメリカドルになるだろうと言われています。
モノづくりの拠点
インドは、国策としてモノづくりの拠点をインド国内で行う「メイク・イン・インディア」政策を2014年から行っています。この政策は、高い関税で国内産業を保護しようとするとともに、インド国内向けに製品を製造する国外企業には税制面での優遇を取っています。
そうすることで製造業を誘致して雇用を作って貿易赤字を正常化しようという狙いがあります。ちなみに、インドはこれまでIT関係のサービスを輸出してきた一方で、ハードウェアであるパソコンなど高付加価値製品については輸入に頼ってきました。
人口が増加する中で家電などの需要も大きくなっているで、家電の輸入が増えるばかりです。こうした経済構造の転換を行うためインドは力を入れています。
こうした状況から、インドで製造業がまだ育ち、インドで製造した製品を輸出して国が潤うことも考えられるので期待できるでしょう。
民主主義の政治体制
インドは、世界最大の人口を誇る民主主義国家です。民主主義国家であることに加えて、自由や法の統治といった価値観を重視しています。なぜ、この価値観が重要なのかと言うと、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの国々価値観が近いからです。
現在の世界は米中を中心に分断が起きています。中国やロシアを中心とする権威主義体制国家と、日本やアメリカを軸とする自由主義陣営国家に分かれています。この分断された世界の中で経済を成長させるには、民主主義陣営との国々との経済交流を通じて国を発展させた方が賢明です。
インドは自由主義陣営と同じ価値観があるので、そういった意味では日本やアメリカと経済的交流を行いやすい、大きな大国と言えるでしょう。
自由主義陣営国家にとってもインドにとっても両者を必要としているので、インドが重要視される理由があります。
英語が公用語
インドの公用語は英語です。新興国の中には、スペイン語や中国語を使っている国がありますが、ビジネスにおいてはやはり英語が世界共通の言語となっていることにはかわりありません。
インドではヒンディー語が話されていますが、英語も準公用語として認められています。エリート層や富裕層は流暢な英語を喋るので、意思疎通が取りやすいです。
これは他の国に比べてインドが有利な点です。同じように英語を公用語としているマレーシアは言語の壁が低いので多くの人や企業を誘致しました。一方で日本は日本語の壁が高いのでビジネスがやりにくいともよく言われています。
教育水準の高さ
インドの教育水準はとても高いです。
インド人の所得が上がるにつれて、家庭では子どもを幼い頃から綺麗な英語を話すように訓練する人々が増えてきました。また、インドはゼロの概念を生み出した国と言われるように、実際の教育の中身もレベルが高いです。
特に理系教育は幼い頃から力を入れており、Global Japan Networkによると、インドは掛け算を二桁の台まで暗記したり、データ処理の理論を学んだりするなど日本よりも教育水準が高いことが伺えます。
そうした背景もあって、インド人にはITプログラマーが多いです。今後もIT業界が一定の市場があり続ける限りこのトレンドはなくならず、経済発展に貢献するでしょう。
なぜインド経済は成長しないと言われるのか
インド経済は成長しないと言われている問題点はこちらです。
- 民主主義体制の意思決定
- インフラや社会制度が未発達
- 財政赤字と不良債権
順番に詳しく解説します。
民主主義体制の意思決定
インドは民主主義体制なので、こちらが弱点となります。インド経済の強みが民主主義であると同時に弱みにもなるのです。
具体的には世界最大の人口を有する民主主義国家だけあって、これだけの人数で合意を取れる物事の決定が難しくなります。意思決定が遅くなることがインド経済の問題点です。
一方で急速に発展した中国やシンガポールは、政治の強いリーダーシップのもとで効率的に発展してきました。まだ発展段階にあるインドが迅速な意思決定を取って経済にマイナスの影響を及ぼさないかがひとつのポイントとなります。
インフラや社会制度が未発達
インドではまだインフラが発達していません。道路や鉄道といった交通機関から、生活に必要な電力や水道といった重要なインフラがまだ発達していません。
これらが未発達であれば当然、経済活動も遅れを取ったりコストが生じたりするので、経済成長にとってはマイナスとなります。
現在もインフラは徐々に改善されており、インフラ関係の企業は好調だという側面がありますが、先進国並みの水準となるには時間がかかるでしょう。
財政赤字と不良債権
インドは新型コロナウイルス対策などによって、財政出動を行い財政赤字になっています。
ロイター通信によると、インド政府は2022年に減税などといったインフレ対策を行いました。しかしながら消費者物価などは下がらず経済成長を結果的に悪化させただけであると言われています。
また、インドのモディ政権は貧困層向けの健康保険制度の導入など赤字が増えるような政策を取ってきました。
そして、インドの銀行は不良債権の問題を抱えています。ニッセイ基礎研究所によると、インドの銀行は非効率な経営、そしてリーマンショック後に業績が悪化してから不良債権が増加したといいます。
不良債権が多い銀行は積極的に市中へ資金供給できないので、結果的にお金が回らないので経済発展ができないというリスクを抱えています。現にインドで金融機関の貸し渋りが原因で不況になっている企業が出てきています。
こうした課題をインド政府が対処できるかどうかが今後の経済成長に大きな影響を及ぼしています。
まとめ
今回はインド経済の発展の見通しや、発展しない理由をご紹介しました。
項目 | 内容 |
---|---|
インド経済の強み |
|
インド経済のリスク |
|
インド経済には、発展する強さがある一方で、リスクとなる懸念要素も存在しています。
ぜひ、この記事を参考にしてインドへの理解を深めてください。