中国の不動産バブルが崩壊して、中国の経済に大きな影響を与えています。
中国経済に大きな影響があると、世界経済も被害を被るので世界的な関心となっています。
そこで今回はなぜ中国の不動産バブルが崩壊したか詳しく説明します。
中国の不動産バブルはなぜ崩壊したか
中国の不動産バブルの崩壊はいくつかの主要な要因に起因します。
- 政府による不動産市場の規制強化
- デベロッパーの経営悪化
- 経済成長の鈍化
- 地方経済の低迷
では、順を追って説明していきます。
政府による不動産市場の規制強化
バブル崩壊の主な原因のひとつは、中国政府の不動産市場に対する規制強化です。
もともと、中国では経済が発展したことに伴って都市化が進みました。その過程で不動産建築やそれに関連する投資が盛んとなっていました。また、政府も経済成長を促進させるために不動産投資を促進していました。
しかし、不動産価格が高騰しすぎて一般の人々には手に入らないことに加えて、不動産の価値に実態以上の価値がつくいわゆるバブル状態になっている問題がありました。これを解決するために政府は規制強化に乗り出します。
デペロッパーへの規制：三道紅線政策
2020年、中国は「三道紅線」政策を導入しました。
この政策は、不動産開発企業の負債比率を制限するもので、過度な借入を抑制しました。これにより過度な不動産バブルを抑え、金融システムのリスクを軽減することを目的としていました。
しかし、その結果、多くのデベロッパーが資金調達に困難を感じ、事業が行き詰まるケースが出てきました。
住宅費高騰による住宅ローン支払い拒否運動への対策
不動産価格の高騰や住宅の引き渡し遅延などが原因となり、一部の購入者が住宅ローンの支払いを拒否する動きが広がりました。
これにより、デベロッパーの資金繰りがさらに悪化し、市場全体の不安感が高まりました。
デベロッパーの経営悪化
政府の政策や、市民の支払いが遅延したことによって複数のデベロッパーが深刻な財務問題に直面し、市場に大きな影響を与えました。
恒大集団のデフォルト
特に、中国最大の不動産開発会社である恒大集団が巨額の債務を抱え、事実上のデフォルトに陥りました。
総資産は数千億ドル規模であり、健康産業、文化観光、インフラ開発、電動車事業など、さまざまな分野に進出しています。また、恒大集団は年間数十万戸の住宅を販売し、数百万人に住宅を提供しています。これにより、中国の住宅市場に大きな影響を与えています。
この経営危機は他のデベロッパーにも波及し、市場全体の信頼を揺るがしました。
資金調達の困難
先ほど説明した政府の規制強化に加えて、投資家の不安感の高まりにより、デベロッパーは新たな資金調達が難しくなり、事業拡大が困難になりました。
経済成長の鈍化
近年の中国経済の成長率が鈍化していることも不動産市場の低迷に寄与しました。
ゼロコロナ政策
特に中国政府が新型コロナウイルスの拡大を抑制するために実施した厳しいゼロコロナ政策は、経済活動に大きな打撃を与え、不動産市場の需要を冷え込ませました。その余波が続いています。
人口減少
また、中国でも人口減少が進んでいます。かつて一人っ子政策を行っており現在では廃止されていましたが、人口ピラミッドを見ると若い世代が減っています。
特に不動産を購入するような働き手が少なくなったことや、高齢化と出生率の低下により、不動産需要の伸びが鈍化しました。
地方経済の低迷
中国の地方政府にとって、不動産は大きな収入でした。なぜならば、中国では土地の所有権は国家にあり、その土地に関して地方政府は土地使用権を一定期間（通常は住宅用地で70年、商業用地で40年など）売却する権限を持っています。この権限を使って開発者に売却して利益を得ていました。
また、同時に不動産事業が活発になることで税収も多くなっていました。
しかし、土地売却収入の減少やインフラ投資の縮小が地方経済に影響を与えました。
土地売却収入の減少
地方政府は土地使用権の売却で財源を確保していましたが、中央政府の政策やデペロッパーの経営状況の不振などで、不動産市場の低迷化しました。そして、収入が減少しました。
インフラ投資の縮小
不動産収入が減って財政状況の悪化したことで、地方政府はインフラ投資を縮小せざるを得なくなり、地域経済の活性化が遅れました。
たとえば、何もない土地に地方政府が主導して駅を作れば不動産の価格が上がります。こうすることで、地方政府の収入も上がるのですが、インフラ投資まで資金が使えない事態になりました。
中国の不動産バブル崩壊が日本に与える影響
中国の不動産バブル崩壊が日本経済に与える直接的な影響について見ていきましょう。
企業業績への影響
日本企業、特に自動車メーカーや機械メーカーなど、中国に進出している企業は、中国経済の減速に伴い、売上や利益の減少に直面する可能性があります。
また、中国向けの部品や素材を輸出している企業も、需要の減少により業績が悪化する可能性があります。
特に自動車、電子部品メーカーにとっては痛手です。また、日本の観光業にも訪日中国人が少なくなれば影響があるでしょう。
金融市場への影響
中国の不動産市場の不安定化は、世界の金融市場に波及し、日本の株価や為替にも影響を与える可能性があります。
特に、中国との貿易関係が深い日本企業の株価は、中国経済の動向に敏感に反応するでしょう。
間接的な影響
中国経済の減速がもたらす間接的な影響についても考えてみましょう。
世界経済への影響
中国は世界第2位の経済大国であり、その経済状況は世界経済全体に大きな影響を与えます。
中国経済の減速は、世界の需要を減らし、グローバルな景気後退を招く可能性があります。
資源価格への影響
中国は世界最大の鉄鉱石や石炭などの資源消費国の一つです。
中国の不動産市場の低迷は、これらの資源の需要を減らし、価格を下落させる可能性があります。
サプライチェーンへの影響
中国は世界のサプライチェーンの中心的な役割を担っています。
中国経済の減速は、サプライチェーンの混乱を引き起こし、日本の製造業にも影響を与える可能性があります。
影響を緩和するための対策
日本が中国の不動産バブル崩壊の影響を緩和するために取るべき対策について考えてみます。
中国経済の動向を注視
中国経済の動向を常に注視し、変化に対応するための準備を進めることが重要です。
サプライチェーンの多様化
中国に依存したサプライチェーンを見直し、他の国々との取引を拡大することで、サプライチェーンの安定化を図る必要があります。
中国以外の新たな市場を開拓し、事業の多角化を図ることで、リスクを分散させることが有効です。
政府の支援
政府は、中小企業に対する金融支援や、新たな産業育成のための政策などを展開することで、企業の経営を支援する必要があります。
これらの対策は、中国経済の動向や、日本政府の政策対応など、様々な要因によって変化する可能性がありますが、リスクを軽減し、日本経済の安定を図るためには重要です。
まとめ
今回は中国の不動産バブルが崩壊した要因について紹介しました。
政府の政策とデペロッパーの財務状況の悪化、そして中国全体の経済の鈍化と地方政府の収入源が組み合わさって今の不況が作り出されたと言われています。
特に実態以上の価格が付いた不動産を規制するために政府は動きましたが、その余波も大きいです。
ぜひ、参考にしてみてください。